衛星放送まめちしき

衛星放送まめちしき

BSデジタル放送における降雨減衰対策~サイト切替について~

日本のBS放送で使用している周波数帯は、雨によって電波の強さが弱められてしまう性質を持っています。この現象は、降雨によって電波が減衰するという意味で「降雨減衰」と呼ばれており、降雨強度が大きいほど減衰量が増加します。そのため降雨減衰が起きると、BS放送の映像や音が乱れたり、映らなくなってしまったりすることがあります。今回は、この降雨減衰対策として我々が行っている「サイト切替」をご紹介致します。

B-SATでは、各事業者様の放送信号を電波に変換後、地上の地球局から赤道上空約36,000kmの宇宙空間に位置する放送衛星へ送信(アップリンク)し、その後、放送衛星からご家庭の受信アンテナに向けて電波を送信(ダウンリンク)しています。

アップリンクの経路上で強い雨が降った場合、降雨減衰により電波が弱められますので、衛星に電波が届かなくなってしまうことがあります。これを避けるために、お互いに距離が離れた複数のアップリンク地球局を整備し、降雨減衰の影響を受けていない地球局からのアップリンクとなるよう局を切り替えながら運用しています。これを「サイト切替」と呼んでいます。アップリンクセンターでは、放送衛星が受信した電波のレベルを常に監視しており、受信レベルがサイト切替実施の判断基準となっています。また、24時間365日いつでも切り替え可能な体制をとっており、ゲリラ豪雨や台風のときには1日に何度もサイト切替を実施することがあります。このようにして、BS放送の安定運用を継続し、非常時においても情報インフラとしての役割を担っています。

 

(参考情報になりますが、ダウンリンクの経路上で発生する降雨減衰対策としては、以前の記事でご紹介していますように「階層変調」という方法があります。)

 

HOME 衛星放送まめちしき BSデジタル放送における降雨減衰対策~サイト切替について~