B-SATブログ

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遠くて近い宇宙の単語

私はB-SATに入社して1年ほどが経過しましたが、仕事を経験していく中で普段の生活ではあまりなじみのない単語にいくつも出会いました。そのたびに資料を読むなど自分なりに勉強し、今まで知らなかったことを理解することができたときは、自分の成長を実感しつつ充実した毎日を過ごすことができています。今回はそんな単語たちの中で、最近宇宙とは程遠い場所で目にする機会が増えた”Equinox(イクイノックス)”についてご紹介しようと思います。宇宙に関する単語は見聞きする機会が少ないため遠く感じられるかもしれませんが、案外身近に潜んでいることもあります。普段の生活でそういった言葉を探してみても面白いかもしれません。

Equinoxとは“分点”という意味で、赤道と黄道が交差する点であり、太陽が分点を通過する日を春分・秋分と呼んでいます。また、分点から90度太陽の周囲を回った点を至点(Solstice)といいます。静止衛星は分点・至点を境に季節によって太陽電池パネルによる電力が変化しますが、特に春分・秋分を中心とした約6週間は、1日の中での変化が大きくなります。これは衛星が地球の影に入ることによって発生し、“食”と呼ばれる期間になります。わかりやすいように地球と衛星の軌道の簡易図を描いてみました。衛星は1日で地球の周りを約1周するため、春分・秋分点付近では衛星が地球の影に入ってしまう時間が発生することが伝われば幸いです。

 

食期間中は衛星が地球の影に入ってしまうため、衛星の電力が低下し、完全にさえぎられると太陽電池パネルから電力供給ができなくなってしまいます。太陽電池パネルから電力供給できない場合、バッテリからの電力供給のみで衛星は稼働しており、何か障害が発生しないかいつも以上に気を抜けない期間になります。私も入社してから2回、この食を経験しました。食期間中の運用に合わせた手順書の準備、実際の食での衛星の状態確認、各日の食結果の評価など、実施すべきことが多くありますが、食での経験を通して衛星の仕組みや成り立ちを理解し、宇宙をより身近に感じるきっかけにもなりました。そのため、もしこの記事を読んでいただいた方が宇宙を少しでも身近に感じていただければ幸いです。食期間の詳細については衛星の食とタマゴ(https://www.b-sat.co.jp/columns/358/)をご参照ください。

 

(Y.S)

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